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サー・アレックス・ファーガソンの奇妙な冒険〈番外編〉「彼はどこにでもいて、どこにでもいる」第五回

text by 東本貢司 photo by Kazhito Yamada / Kaz Photography

首相交代と監督交代に密接な関係が…

 ずっと後になってからも、広報担当官を通じて首相にマッサーを紹介するなど、ブレアとの交流は続いたが、ファーガソンがその政策論に共感と信頼を置き、誰よりも強い絆で結ばれることになった政治家は、スコットランドの同胞、ブラウンの方だといわれている。

 ブラウンは“盟友”ファーガソンのもとに、CDで35枚にも及ぶ「ジョン・F・ケネディー暗殺事件」の記録を贈呈したのは知る人ぞ知る逸話だ。サー・アレックスはJFKの生涯にひときわ強い興味を抱いていた。

 枕元にはJFKの検屍解剖(検視)報告書を置いて、折に触れては読みふけり、また、彼の蔵書にはジェラルド・フォード(元合衆国大統領)のサイン入り『ウォレン・リポート』(JFK暗殺の調査報告書)も大切に収められているという。

 どうやら、ファーガソンは時代を切り開こうとしたエポックメイキング的なリーダー像とその生き様に、ひときわ強く惹かれる性(たち)のようだ。あるいは単に、歴史の闇を解明する謎解きごっこがお好きなのかもしれないが――。

 ふと、「ブレア→ブラウン」の交代劇は、ひょっとして「ファーガソン→モイーズ」のそれを“解明”するヒントになるのだろうか、などと頭をよぎったりして? いいや、そもそもが「闇」とか「謎」というほどのこともない。とにかく筆者は勝手に結論付けている。「ファーギーは端からモイーズ“しか”考えていなかった」!

【第六回に続く】

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