第二の母国・日本への想い
――最後に日本の人にメッセージを。
「イラク代表はぼくの哲学に沿った攻撃的なチームだ。いいサッカーをするよ。日本代表にも幸運を祈っている。イラクと日本が出場権を得て、ブラジルに来ることができればいい。震災の時は本当に心を痛めていた。日本はぼくにとって第二の母国だからね。日本の人々には愛情がある。サッカーの力で乗り越えていけると思っている」
――日本代表と対戦するのは楽しみですか?
「そうでもない。まずは目の前の対戦相手を倒すことを考えていく。8月になったら、日本対策を真剣に考える。現時点では日本の試合は観ない。まずやることがあるからね」
日本代表の試合を観ていないというのは事実かどうか分からない。
少なくとも欧州でプレーする日本人選手の情報は得ていることは間違いない。なぜならば毎回、「森本が点を取ったな」「本田のフリーキックはいい」という類の会話を交わしてきたからだ。世界中どこにいても、彼は可能な限り日本人選手のプレーをチェックしていた。もちろん、鹿島アントラーズの勝敗はいつも気に留めている。
未だにジーコが「第二の母国」と言うのは大袈裟ではない。今も日本に対する思いは深い。だからこそ、2006年W杯後の自分に対する評価が悔しいのだ。
「たった1試合で、これまでの功績を否定されるのは辛い」
とジーコは漏らしたことがある。9月11日、日本代表との試合は、彼の意地を見せつける格好の舞台となるだろう。欧州チャンピオンズリーグに出場しないチームを率いたのは、そうした理由だったかもしれない。頑なに日本の試合を見ていないという彼の顔を見て、ふと思った。
【了】