ジーコが分析する最終予選の展望と日本代表
――今回、日本と同じグループに入った時はどう思いましたか?
「特に感想はなかった。一緒の組になる可能性はあったからね。どんな組になっても準備しなければならない。アジアは世界で最も力が拮抗している地域と言ってもいい。南米は、ブラジル、アルゼンチン、ウルグアイ、パラグアイともう1つ。多少の波乱があっても、だいたい決まっている。
アジアはオーストラリアが入ってから混沌としている。以前の常連国だったサウジアラビアが出場権を獲得できなくなった。前大会に出場した北朝鮮は今回の予選ではすでに姿を消している。アジアではどこかの国が“枠”を確保しているなんてことはない。
グループBで日本とオーストラリアの2ヶ国が勝ち抜けると思われているかもしれない。しかし、みんなが格下に見ている、ヨルダンとオマーンは厄介な相手だ。反対側のグループA(韓国、イラン、ウズベキスタン、カタール、レバノン)では、カタールとレバノン、この2つの国を侮ることはできない。
そして、ヨルダンとオマーンは、カタールとレバノンよりも強い。どちらのグループも最弱だと思われている2つの国が鍵になるだろう」
――日本に加えて、あなたにとっては因縁のあるオーストラリアが同じ組に入りました(2006年W杯、ジーコの率いる日本代表は後半の7分間で3失点し、逆転負けした)。
「それは昔のことだよ。(急に早口となる)オーストラリアは1つの世代が去りつつある。ビドゥカはいなくなり、ケーヒル、ケネディの出番は減っている。ハリー・キューエルはまだいるが、世代交代の最中だ。当然、以前とは戦い方が違ってくる。
オーストラリアは因縁の相手だとは思わないよ。因縁と言えば、日本だって、オマーンはいつも苦戦する相手だろ? オマーンはよく訓練されたチームだ。
いつも日本戦は拮抗した試合になる。次も勝てるとは限らない」
――日本代表についての情報は得ていますか?
「見ていない。最後の試合は……アジアカップの決勝かな」
――あなたは日本にたくさんの知人がいる。見る気になればいくらでも見られるでしょ?
「もちろん。ただ、三次予選の最中、ぼくたちが分析していたのは、同じグループの中国、ヨルダン、シンガポールだった。これからビデオを観るのは、最終予選で最初に対戦するヨルダンであり、次のオマーンだ。
もちろん、日本の選手は知っているよ。本田、香川、長友、長谷部、遠藤、憲剛、今野、駒野……。鹿島にいたサイドバックの内田。岡崎や前田もいるんだろ? 松井はどうしているんだ? 今は選ばれていないみたいだな。後は誰がいるんだ?」
――あなたが知らないと思うのは、ハーフナー・マイクかな。
「誰だ?」
――ディドの息子です。甲府で活躍してオランダに行きました。
「マリノスにいたセンターFWか? 知っている」
――イングランドのボルトンにいる宮市。
「(少し首を傾げて)リオ(RIO)とかいう選手か?」
――“RYO”ですね
「そのユニフォームはテレビで見た。その試合では守備に追われていた。攻撃の選手としての評価は出来ない」
――李。
「アジアカップで決勝点を決めた選手だな。日本は沢山のオプションがあるのは間違いない。ただ、チームに“違い”を与えることができるのは、本田と香川の2人だけだ。彼ら2人は特別だ」