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Jリーグ 11年前

「上手いチーム」から「強いチーム」へ ガンバ大阪の顔に成長しつつある倉田秋

text by 下薗昌記 photo by Kenzaburo Matsuoka

倉田のフル稼働はチームにとっても生命線

 2007年のトップ昇格時にはボランチで起用。「蒼き後継者」のフレーズで、遠藤の後継者的な扱いをされていた倉田だったが、パスワーク主体の当時のスタイルにあって、どんどんとこじんまりしたプレーに終始。「今思えば、僕はボランチじゃなかった。レンタルに出た千葉で前目をやったことで昔の感覚を思い出した」とアタッカー的な素養を開花させて行く。

「秋は攻守においてチームに欠かせない存在」(長谷川監督)。指揮官も信頼を置く背番号6は、今季のG大阪にあって最も波の少ない選手になりつつあるが、特に秀逸なのが精神面での成長だ。

「去年までは自分のプレーのことだけを考えていた。今年はまずチームの勝利を意識している」(倉田)。

 群馬戦で、ユース時代の後輩に当たる西野貴治の凡ミスから同点を許すと、「何とか助けてやりたかった」とわずか8分後に勝越し点をゲット。岡崎建哉が初先発した栃木戦でも「早い時間帯に点を取ってあげれば、新しく出る選手も精神的に楽になる」。

 キャプテンシーには無縁と本人は謙遜するものの、プレーでチームを牽引し続けている。

 6月末でレンタル期間が満了するチーム得点王・レアンドロと家長昭博の去就が不透明なだけに、現在6得点の倉田のフル稼働はチームにとっても生命線となる。

「上手いチームから少しずつ、強いチームになりつつある」。

 好ゲームが勝ち点3につながらなかった昨季の悔しさを知るだけに、倉田がこだわるのも「強いチーム」。入団当時とはプレースタイルこそ異なるものの、「蒼き後継者」は確かにG大阪の顔に成長しつつある。

【了】

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