本田にだけ依存しているわけではない
前田はDFラインとボランチの間のスペースを作り出す動きで2列目のためにスペースを作り出す、遠藤はタイミングの良い縦パスによって攻撃のスイッチを入れるというようにザックジャパンにおける重要な役割を担っており、現時点では彼らの仕事を同じようなクオリティーでできる選手が見つかっていない。
3年間に渡って同じメンバーで戦い続けた結果、今のザックジャパンは「誰が出ても同じことができるチーム」ではなく「同じメンバーじゃないと機能しないチーム」になってしまった。
「本田依存症」ばかりがクローズアップされるが、実際には前田がいなくても、遠藤がいなくてもチームはうまく回らない。これは現時点でほとんどのポジションにいえることだ。
コンフェデ前の最後の試合となるイラク戦では、ザッケローニ監督は「主力を休ませる」ことを明言している。メンバーに関してはフタを空けてみなければわからないが、この試合では個々の選手がピッチ上で自分が“使える”ということをアピールしなければならない。
特に、1トップやボランチに関しては既存の選手のパフォーマンスや年齢的なものを考えると、1年後にバックアップとスタメンの座が入れ替わってもおかしくない。イラク戦は位置づけ的には消化試合だが、バックアップの選手にとっては公式戦でプレーできる貴重なチャンス。
ザッケローニ監督が現状でのメンバーによる底上げという道を選んだ以上、その中で新陳代謝や競争激化が起こらない限り、チーム力はゆるやかに低下していく。“神イレブン”のポジションを脅かす選手が出てこなければザックジャパンが「世界一」になることなどあり得ない。
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