チームに漂う閉塞感
ワールドカップの出場権獲得後に発表されたイラク戦、そしてコンフェデレーションズカップの日本代表メンバーは、オーストラリア戦から新顔の東慶吾、工藤壮人、そしてベテラン駒野友一の3人が外れた以外は新しい選手の招集もない、順当なものとなった。
ワールドカップ1年前のタイミングで行われるコンフェデは、ザックジャパンにとって重要な強化ポイントだ。ブラジル、イタリア、メキシコといった世界のベスト4クラスの強豪国と公式戦で戦えるチャンスは本大会までもうない。
本来であれば、この大会はザックジャパンが新しい選手を試して、ワールドカップバージョンのチームを作っていくためのスタートラインになるはずだった。実際に代表選手たちは「出場権が決まったらガラッとメンバーが変わるんじゃないか」という危機感を抱き、呼ばれていないJリーグの選手たちは「ここからチャンスになる」と期待感に胸を膨らませていた。
しかし、3月27日のアウェーのヨルダン戦に1-2で敗れて予選突破を果たせず、6月4日のオーストラリア戦まで出場権獲得のタイミングを引っ張ったことで、コンフェデはこれまでのチームの延長上に位置づけられることになった。ザッケローニ監督はヨルダン戦に敗れた時点で「このメンバーをベースにワールドカップに臨む」と覚悟を決めたのではないか。
とはいえ、ここ最近の試合を見ているとチームから閉塞感が漂っている。これは個々の選手のパフォーマンスの低下にも起因したもの。特にJリーグでプレーする2人のベテラン、前田遼一は前線で本田圭佑と香川真司とのコンビネーションに割って入ることができず、遠藤保仁は決定的なパスを出すこともあるが、これまでには見られなかったようなイージーミスをすることが目立った。