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日本代表 11年前

ジーコ独占インタビュー「イラクには芝のグラウンドさえなかった」

text by 田崎健太 photo by Kenta Tazaki

困難でも前を向き突き進む

――なんでわざわざイラク代表監督というのがぼくの感想でした。

「ぼくだって、中国、アラブ首長国連邦、イラクの3ヶ国から選べと言われたら、中国を勧めるだろうね。

 中国のサッカー関係者は、日本を真似ようとしている。かつての日本と同じようにビッグネームを欲しているんだ。

 そう言えば、三次予選で中国に行った時、トルシエと会ったよ。ぼくたちの泊まっているホテルまで会いに来てくれたんだ。彼はどこかのクラブの監督をやっているんだろ? 岡田(武史)も中国のクラブチームの監督になったよね。

 実はイラク代表監督就任後、サウジアラビア代表監督の打診を受けた。イラクに比べるとずっと恵まれた環境だった。

 しかし、ぼくはイラク代表として次のステップに進むつもりだと断った。三次予選は中国と同じ組だったし、敗退する可能性も低くなかった。

 ただ、一度引き受けたのだから、最後まで全うしたい。困難でも前を向いて突き進むしかない。人生とはそんなものだよ」

――あなたはそういうのが好きですよね。

「(苦笑いして)今のイラク代表は、困難を乗り越えてきたチームであり、経験ある選手が残っている。今のチームのうち、10数人は30才過ぎの選手だ。

 日本代表と試合(2004年2月12日、国立競技場)をした選手が残っている。覚えているだろ? あの鹿島の合宿で寿司を投げた事件(通称『キャバクラ事件』)があった頃だよ。

 彼らは2004年のオリンピックには出場しているが一度もW杯に出場したことがない。今回の予選が最後のチャンスになるだろう。だからこそ、モチベーションが高い。

 ただイラクは年上を尊重しすぎて若手が萎縮する傾向がある。経験ある選手の中にうまく若手選手を混ぜながらチームを作っている」

【後編に続く】

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サッカー批評 ISSUE56

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