ヨルダン戦のようなことが起こるのがフットボール
――ザッケローニ監督は、今年3月のヨルダン戦で中村憲剛を起用しませんでした。その直前のカナダとの強化試合の後半にトップ下で使って、攻撃が機能したように見えたのですが…。
「ヨルダン戦は、日本にとって不運な試合だった。総合力では、日本の方がはるかに上。守備のミス、決定力不足、PK失敗などがあったとはいえ、勝ち点を取れていてしかるべき試合だった。ただ、ああいうことが起きるのがフットボールだ」
――日本では、本田と香川のどちらをトップ下で起用するかが議論されてきました。あなたが監督ならどうしますか?
「私なら本田をトップ下、香川を左サイドで使う」
――その理由は?
「トップ下という非常に厳しいマークを受ける場所で、本田のキープ力を最大限に活用したいからだ。また、香川のスピードと巧みな動きは、サイドでより生きると思う」
――現在、欧州リーグで活躍している日本選手のほとんどは攻撃的MFとサイドバックです。世界で通用する日本人のFW、ボランチ、DFが少ない現状をどう思いますか?
「ヨーロッパ人から見たら日本人選手の多くは華奢だから、サイズと身体能力を必要とするCFやDFのポジションは任せにくいのだろう。ボランチは、サイズはあまり関係ないが、チームの中心であり、多様なスキルと高いコミュニケーション能力が求められる。
フットボールではポジションによって求められる能力が大きく異なるから、育成段階で、プロのトップレベルを知っているコーチが各々のポジションで必要なプレーを選手たちに叩き込む必要がある。
日本の場合、選手育成を高校、大学などのアマチュアチームに頼っている部分が大きいせいもあって、このような選手育成がなかなかできていない。将来、クラブの下部組織で計画的に育てられた選手が増え、また身体能力が高いアスリートがもっとフットボールをするようになったら、欧州で活躍するFW、ボランチ、DFが大勢出てくるはずだ」
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