日本とオランダ、CFの決定的な違い
(攻)「センターに留まり、ボールを収め、そして点をとれ」
前述の通り、CFのマッチアップの相手は常に「+1」である。常に数的不利の状況下でサッカーをしなければならない。この難しい状況下でのポストプレーが求められるので、ボールが収まるCFが出てくる傾向にある。
また、オランダのCFは基本的に「サイドに流れるな」と指導される。1トップがサイドに流れるとWGが勝負するスペースを消しかねないだけでなく、WGがクロスを上げる時にペナルティエリアの中に選手がおらず、点が取れなくなってしまうからだ。
結果として、オランダのCFはペナルティエリアに留まり、「数的不利の状況下でいかにCBのマークを外し、点を決めるか」という部分が求められるシーンが多い。そういう環境下でプレーするからこそ、強いプレッシャーの下でも点を決められるようなり、決定力の高いCFが育つのだ。
オランダ人CFの典型例は、ロビン・ファンペルシーよりはシャルケのヤン・フンテラールのほうが近いだろうか。ファンペルシーは元々WGの選手であり、まずドリブルを選択するプレイスタイルであった。その後、英国に渡った後にCFに転身し、英国的なCFの要素を取り入れてその能力を開花した。いわば(英国とオランダの)ハーフのような選手だ。
センターに留まるというよりは、サイドに流れつつ裏に抜け出し、ダイレクトでゴールを決めるお決まりの得点パターンはオランダのものというより、英国のスタイルだ。また、縦パスを受けた時、まずドリブルを選択する傾向にあるのはウイング時代の名残と言える。
さて日本の場合だと、FWはサイドに流れてボールを収め、ペナルティエリアにはもう1人のFWまたは中盤が飛び出していく動きが求められることが多々ある。サイドに流れるということは、ペナルティエリアで勝負する回数が減少することを意味する。
日本に決定力の高いCFがいないのは、ここに一因があるのではないだろうか。実戦のプレッシャー下でシュートするチャンスを増やすことは、日本最大の課題である「決定力不足」を克服するひとつのキーファクターに成りうるのではないだろうか。
(守)「センターに留まりパスコースを限定しろ」
オランダのCFは、守備を求められることがあまりない。強いて言うなら、CBが持った時にパスコースを限定するくらいのものだ。守備のタスクの少なさが、攻撃の質を上げるのにもつながっていると言えるだろう。