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Jリーグ 11年前

日本ハムファイターズ アドバイザー藤井純一が説く プロスポーツの経営論(後編)

text by 宇都宮徹壱 photo by Tetsuichi Utsunomiya

北海道でこだわり続けた「集客」

 藤井は常々、社員に対して「順位に関係なくお客さんは入る。もしお客さんが減ることがあれば、われわれが手を抜いて地域密着に失敗しているからだよ」と説いていた。一般のファンに対し、いかにチームの一員のような感情を持ってもらうか。

 その命題を追求するべく、社員一丸で知恵を絞り、さまざまなアイデアを出し、試行錯誤を続けながら、北海道ならではのファンサービスを模索した。結果は着実に数字上に表れ、ファンクラブ会員は05年の3万6000人から、今では10万人を超えるまでに増加している。

 地道なファンサービスを「地上戦」とするならば、広大な北海道で球団の知名度を挙げるべく、採られたのが、メディアを駆使した「空中戦」である。

 TVの放映権料は「8試合までは定価、8~10試合が2割引き、10試合以上が半額という感じでやっています。それで視聴率はだいたい17%くらい確保していますから」とのこと。東京での巨人戦の視聴率は8~9%というから、北海道限定とはいえ、まさにキラーコンテンツである。

 かくして、ファンサービスの充実と地元メディアへの露出増加により、年間入場者数は右肩上がりで上昇。09年と11年は199万人を超える年間入場者数を記録した。収入についても、今季が115億円。内20億~30億円は親会社からのスポンサー料となっており、「現実的には85億円以上を自分たちで稼ぐようになった」。

 このスポンサー料をどう見るかにもよるが、球団としては07年以降「黒字を続けている」ことは大いに評価してよいだろう。

 現在のファイターズの収入は、入場料収入とスポンサー収入がほぼ拮抗している。とはいえ、球団としては「集客第一」で考えているようだ。それは藤井のこの発言からも明らかである。

「ファイターズ時代で最も嬉しかったのは、06年の開幕で札幌ドームが満員になったことです。はっきりいって、日本シリーズの優勝(06年)よりも、よっぽど嬉しかったですね(笑)」

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