急激に輝きを増す日本代表のサイドバック
ここ数年、急激に輝きを増しているエリアがある。日本代表にとって、中盤以外でもう一つのストロングポイントとなり得るポジション――。それがサイドバックだ。
欧州のクラブの視線はすでに、このポジションの日本人に注がれている。
10年夏に長友佑都がイタリアに、内田篤人がドイツに渡って門戸を開くと、安田理大がオランダへ、酒井高徳がドイツへと続き、昨夏には酒井宏樹が後を追った。また、契約こそまとまらなかったが、駒野友一もベルギーのクラブからオファーを受けた。
「現代サッカーではSBの重要性が高まっているだけに、これだけ多くの選手が欧州のクラブに認められているのは素晴らしいし、頼もしいですね」
そう語るのは、攻撃的な右SBとして鳴らした名良橋晃だ。鹿島の黄金期を支え、フランスワールドカップにも出場した彼は、現代サッカーにおけるSBの役割について、このように説明する。
「僕らの時代に求められていたのは、攻撃では上下動してクロスを上げることでした。でも今は、求められるものが遥かに多い。プレッシングが厳しくなった今、SBは他と比べて相手からのプレッシャーがまだ緩い。だから、縦パスや斜めのパスを入れて攻撃の起点になることが求められます。
また、縦に仕掛けた場合も、クロスを上げるだけでなく、バイタルエリアに侵入してシュートやラストパスを放つなど、決定的な仕事も要求される。もちろん、守備も大事で、相手との1対1に勝つのは当然として、逆サイドからのクロスに対して中に絞ってカバーしたり、スライドして中央を守ったりすることもあります」
ボランチのようにビルドアップで貢献することが求められ、カットインしてアタッカーのようにバイタルエリアでの仕事を要求され、センターバックのようにゴール前で防ぐ機会もある。今やSBはユーティリティ性が最も必要とされるポジションだ。