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日本代表 11年前

高橋秀人は本当に“代表病”なのか? ポポヴィッチ監督が語る代表とクラブの理想的な関係

text by 後藤勝 photo by Asuka Kudo

FC東京の選手は黒子タイプ

 それでいてアルベルト・ザッケローニ監督は高橋を代表に呼んだ。おそらく決定的な仕事をしたとか、精度の高いパスを出せるという理由ではないだろう。高橋のよさはむしろチームの網目に溶け込んで綻びを直すなどの地味なプレーや、使い減りしないタフさにあると思う。

 そういうタイプの選手が代表に入ったり、対湘南戦での致命的なミスから一週間後のJ1第12節対清水エスパルス戦で、前線との連動から飛びだしての決勝ゴールをマークするから驚かされる。

 対オーストラリア戦に向けた日本代表に東京から招集された三人は、いずれも個の能力を発揮するというより、むしろ黒子のようにチームワークの中で個性を出す、あるいは全体を考えてプレーするタイプの選手だ。

 権田や高橋のコメントは常にチーム、試合、リーグ、この国のサッカー、サッカーそのもの──というように本質から全体を透徹したものであるし、東慶悟のプレーはそれこそ羽生直剛のように激しくムーヴしながらチーム全体を撹拌するものだ。もしザックが東京に所属する「サッカー大人」を順に代表へ呼んでいるのだとするなら、それは理に適っている。

 おそらく田中さんが指摘したようなパスの精度、あるいは代表に入っていけていないことは、高橋本人が痛感していることだろうし、ブレークしきらない現状を打破しようと思えばこそ、今季に入ってからシュートの蹴り方、入り方に工夫をこらし、また一定本数のシュートを放ち(その日のチーム最多シュート数を撃ったこともある)、実際にリーグ戦で点を決めた。本田圭佑からもらった「点を決めないと上の世界に行けない」というメールの一文を胸に刻んでのことだ。

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