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日本代表 11年前

代表選出後にJでパフォーマンスが低下。当落線上の選手が発症する“代表病”とは?

text by 田中滋 photo by Asuka Kudo / Football Channel

増田誓志や田代有三の苦悩

 ザックジャパンのなかでは増田誓志の苦悩を間近に見てきた。2011年、小笠原満男の不調を契機にポジションを得ると、一気に代表にまで登り詰める。2012年初旬にはアイスランドとの親善試合で先発するチャンスも与えられた。

 しかし、その後は代表で求めらる動き方と、鹿島で求められる動きの違いに悩むようになる。すると、2012年シーズンはポジションを失うだけでなくベンチ入りからも外れるようになり、代表からも自ずと遠ざかるのだった。

 鹿島では、かつて田代有三も代表に呼ばれてから調子を崩してしまうところが見られた。持ち味である強引な仕掛けや豪快なプレーよりも、どちらかと言えば不得意な技術が問われるボールコントロールや2列目への落としの精度にこだわるあまり、プレーが小さくまとまるようになり、興梠慎三にポジションを奪われてしまうのだった。

代表選出後にJでパフォーマンスが低下。当落線上の選手が発症する“代表病”とは?
田代は神戸で強い輝きを放っている【写真:工藤明日香(フットボールチャンネル)】

 現在、彼らは自分たちの特長を再び取り戻し、増田は蔚山、田代は神戸で強い輝きを放っている。力のある彼らでも生き残るのが難しい場所が、代表チームなのだ。

 いまの代表チームにも少し心配な選手がいる。FC東京の高橋秀人である。Jリーグが中断期間に入る直前、カシマスタジアムで行われた鹿島対FC東京の試合でも、前半はFC東京のゲームだったなかで1人だけミスの多さが目立っていた。代表チームの練習でも、それが顕著なのは気になるところだ。

 今後、柿谷曜一朗らを筆頭に、7月の東アジア選手権に向けた招集を熱望する声は大きくなる。W杯本大会まで残された日数も少なくなり、選手たちにかかるプレッシャーも日増しに大きくなるはずだ。その試練をくぐり抜け、新しい血が加わったとき、ザックジャパンのレベルはひとつ上がっていることだろう。

【了】

原稿提供:サッカー専門新聞エル・ゴラッソ 田中滋WEBマガジン『GELマガ』

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