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日本代表 11年前

豪州戦で見えたW杯までの成長曲線――。本田の決定力向上に日本代表の未来がある

引き分けに持ち込みW杯出場を決めたオーストラリア戦。常に試合を支配する強さが見えた一方で、W杯へ向けた課題も見つかった。

text by 西部謙司 photo by Asuka Kudo

本田はなぜPKを真ん中に蹴ったのか?

豪州戦で見えたW杯までの成長曲線――。本田の決定力向上に日本代表の未来がある
この後PKを中央へ決めた本田【写真:工藤明日香】

 予選突破のかかった90分のPKを中央へ決めた。本田圭佑の強心臓が称えられているが、もともとPKは真ん中を狙うことが多い。シュートが強いのでGKはヤマをかけて先に動きたくなる、その裏をついてど真ん中へ蹴るのが本田の得意なPKのやり方であり、多くのPKキッカーと同じく最も自信のあるシュートを打ったのだと思う。

 シュウォーツァーは本田のPKはアジアカップのときに見ていたに違いない。真ん中の可能性もあるとは知っていただろう。それでもあの緊迫した瞬間に、GKが「動かない」という選択をするのは真ん中へ蹴るのと同じぐらいの度胸がいる。

 本田がいると日本代表は違うチームになる。バイタルエリアでボールが収まる、フィジカルコンタクトに強いのでどっしり構えていられる。それが崩しにかかるところでチーム全体の落ち着きにつながっていた。

 コースが開けばどこからでもミドルシュートを打てるのも相手に威圧感を与える。本田のミドルがCKになり、クロスがPKにつながった。

 ベストメンバーを組んだときの日本は強い。慌てずに押し込み、相手のマークをはがす丁寧なパスワークの後に本田、香川へ縦パスを入れて仕掛けていく。このあたりの手順はこなれてきた。本田、香川の2枚看板連係も良く、とくに後半の香川真司はプレーするたびにチャンスを作る圧倒的なプレーぶりだった。

 すっかり完成された感のあるベストメンバー時のチームも、まだ少しずつ進歩しているようだ。前線からのプレスの速さも増していた。これが機能したのでオーストラリアに主導権を握らせなかった。

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