リバウド的なトップ下
緻密なボールタッチを持った日本人アタッカーは多い。その点で、本田と香川は日本人らしい良さがある。敏捷性を武器にしている香川は、より日本人選手らしいかもしれない。
一方、本田は日本人らしくない面もある。前記したようにフィジカルコンタクトの強さがそうだ。体を当てられたくないのと、当てられても平気なのとでは、プレーの前提が違ってくる。
本田はヨーロッパでもコンタクトに強いほうで、日本人選手としては希有な部類だ。フィジカルコンタクトが武器になるのはかつての中田英寿と本田ぐらいだろう。
アタッカーは常に〝間〞で受けられるわけではない。がっちりマークされながら受けなければならない場面も必ずある。そのときに体でブロックする力のある本田は、カウンターアタックでタメを作れる点で貴重なプレーヤーだ。
最大の魅力は左足のキックだろう。
FKのブレ球は世界でもトップクラス、長短のパスはもとより、ミドルシュートという武器がある。
本田のキックは多彩だ。フルスイングしたときの強烈な一発があり、そうかと思えば窮屈に体を畳みながら際どいコースへ飛ばすシュートも持っている。ボールの置き所がずれていてもキックで調整できるので、30メートルぐらいの距離なら、一瞬でも前が開いたら枠へ飛ばすことができる。
ボレーシュートも上手いし、ヘディングも強いので、ゴール前に入ってクロスボールを狙える。ゴール前で待てるのは、香川にはない本田の特徴だ。
破壊的なミドルシュートとゴール前での強さという点では、かつてブラジル代表で10番を背負ったリバウドと似ているかもしれない。リバウドはプレーメーカーというより、ストライカー的なトップ下だった。
ただ、ヒザを負傷してからの本田は、以前ほど強引なプレーはやらなくなっている気もする。よりプレーメーカーとしての比重が高くなっているのではないか。