ヘアドライアーの正しい定義
ファーガソンの代名詞、いわゆる「ヘアドライアー」はすっかり有名になったが、正確には「ヘアドライアー・トリートメント」という。無論、ヘアケア用語ではない。「ヘアドライアー式の(手荒な)扱い方」という意味で、当然造語だ。
マンチェスター・ユナイテッドの評伝作家、ジム・ホワイトによると、創案者はマーク・ヒューズということになっているが、ライアン・ギグスとほぼ同期のリー・シャープ(左利きのウインガー)がどうやら“真犯人”らしい。
シャープは“課外活動”の豊富なバリエーションでつとに悪名高い、いわば人生をとことん楽しむタイプの、つまりは表現力豊かな男だった。
かつては「瞬間湯沸かし器」などと“和訳”されていたが、これはまったく舌足らずというべきで、「対象者(プレーヤーとは限らない)の鼻先数センチに立ちはだかり、髪の毛を逆立てて(あくまでも比喩)恐ろしく早口で罵倒する」が、正しい定義(c筆者)。
前回ご紹介したフランク・マクドゥーガル辺りは初期の犠牲者ということになるが、当時はまだ“荒削り”で抑えが利かず(?)、故に思わぬ反撃を食らったのかもしれない。
実は、一般にはほとんど知られていないが、この「ヘアドライアー」とは別にアレックス・ファーガソンを象徴する、いや、彼にしか適用されない“スペシャルフレーズ”が、もう二つある。「ファーギー・タイム」と「スクウィーキー・バム・タイム」だ。
【次ページ】ファーギー・タイムは79秒?