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セリエA 11年前

長友の起用法、故障者問題への対応は? インテルの変革を託されたマッツァーリ監督の哲学

text by 神尾光臣 photo by Kazhito Yamada / Kaz Photography

3バックへのこだわり。長友をどう使うか?

 システムは、間違いなく3バックを採用するだろう。「システムにはこだわらない」と口にする指導者は多いが、この人は別。「守備のバランスがとれ、そしてピッチをワイドに取ることが出来る」というポリシーを持ち、1999年の指導者キャリア開始以来一貫して3バックで闘っている。

 下地は出来ている。2年前、ガスペリーニ監督は導入から結果を出せずに3ヶ月で解任された。ただその時の練習が活きたのか、ストラマッチョーニ監督は3バックを使いこなし、前半戦には結果も出している。

 ただマッツァーリの場合は、3バックにはよりビルドアップへの参加を求める。サンプドリア、ナポリと連れて回り、インテルでも結果的に一緒になったカンパニャーロ(ナポリからインテルへ移籍)は、おそらく不可欠な存在になる。あとは足元に若干難のあるラノッキアあたりが、この要求に応えるプレイを出来るかどうかが注目のポイントだろう。

 もう一つ、このシステムの鍵を握るアウトサイドだが、サネッティの故障により右のやり手は不足。そのためにスニガ(ナポリでは左をこなしていたが、この選手は本来右の選手だ)やウディネーゼで活躍中のバスタの獲得が噂されている。

 気になるのは長友の扱いだが、選手としては監督が気にいるタイプだ。豊富に上下動をこなしてスピードもあるし、レッジーナに中村俊輔が所属していた時代には勤勉に練習に励む姿勢も評価して主力に起用し、日本人には好意を持っている。左アウトサイドには左利きでなければならない、というこだわりもない。

 ただマッツァーリの場合、サイドの選手には深く下がり、4バックのSB然にスペースを埋める仕事を要求していた。長友ならなおのこと問題はない…はずなのだが、スペースをケアするという守備で昨季は若干不安を見せていた。

 対面にウイングを付けられると、それにべた付きになり、DFラインとの間にギャップを作られてやられるという試合もあったのだ。他ならぬ前期日程のナポリ戦では、後半にインシーニエをぶつけられ手を焼いている。戦術理解が進むかどうかが、新監督下で信頼を得る鍵だと見る。

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