失点を招いてしまったわずかなズレ
川島が悔やんだのは「(ブレ球は)ボールがどこに行くかわからない分、シュートコースのライン上に入っていなければいけなかった」ということ。シュートに対してはボールとゴールを結んだライン上に立つのがセオリーだ。だが、失点シーンの川島はシュートの軌道からボール1、2個分ズレている。
ゴール裏に設置されたカメラによるリプレイ映像を見ると、川島はボールが蹴られた瞬間、1回右側(キッカーから見てニアサイド側)に動こうとしていることがわかる。ファーにボールが飛んできたのを見て左側に動き直したが、横の動きが大きくなってしまい十分なセービング体勢になっていなかった。
ジャンピングセーブではない限り、セービングは身体の前で行うのがセオリーだ。このように身体の外側にあるボールをパンチングしようとすると、パワーが外側に逃げてしまうので十分に弾き切れない要因となる。また、雨でボールが濡れていたこともあって、余計にボールとの接地時間が短くなるパンチングはリスクが大きかった。
内田篤人が「永嗣さんに助けられた場面もたくさんあった。ブレ球で、雨だったし」と語ったようにチームメートから川島を責めるような発言はなかったが、細かいミスがあったことは川島本人が最もよくわかっているだろう。
近年のボールの変化と技術の浸透によりブレ球の“発生率”は高まっている。数年前まではポルトガルのクリスチャーノ・ロナウド、イタリアのピルロ、本田圭佑などの専売特許的な技術だった、今は誰が蹴ってきてもおかしくない。
ブレ球がGK泣かせのシュートではあることは事実。しかし、シュート前の準備やセービングの方法によって止められる確率を高めることはできる。ブルガリア戦の1発は川島にとって大いなる教訓になったのは間違いない。
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