チームに新たなオプションをもたらした代表組
かつてのG大阪は遠藤保仁と山口智(現千葉)によるセットプレーのホットラインを有していたが、チームに貴重な同点ゴールをもたらしたのは、西野貴治の高さを生かしたCKだった。前節、群馬戦で痛恨のミスを犯し、反省の意も込めて短髪にした背番号26の折り返しを今野が62分に今季初ゴール。
流れを引き戻したG大阪は直後にも遠藤がポスト直撃弾を放つものの、突き放し切れずに時間だけがジリジリと経過する。
神戸や千葉、東京Vら昇格争いのライバルが敗れる波乱の展開にあって、従来ならば、同様に足踏みし勝ちだったG大阪だが、有言実行の背番号7の右足が格の違いを見せつける。
「チームにいる間に一つでも多く勝ちたい。僕らが不在の間はどうしようもないので愛媛戦にしっかり勝って代表に合流したい」(遠藤)
愛媛の守護神・秋元陽太をあざ笑うかのようにニアをぶち抜いたCKからの直接ゴールで、今季初の逆転勝ちを収め、待望の首位浮上に成功した。
「代表のことは、愛媛戦を終えてから」と異口同音に語った二人の日本代表のアベックゴールはいずれもセットプレーによるもの。指揮官が求める「オプション」を見事に体現した格好だが、愛媛戦を最後にチームは攻守の軸2人を欠く事になる。
今季初の逆転勝ちで勝負強さを体現したチームが、次に解消すべき課題が代表組不在の戦い方だ。遠藤と今野を欠いた横浜FC戦と熊本戦はいずれもドローに終わっている。
コンフェデレーションズカップの勝ち上がり次第では4試合から6試合、2人の日本代表を欠く可能性もあるG大阪。チーム力と指揮官のやり繰りが、栃木戦以降問われることになる。
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