フットボールチャンネル

Jリーグ 12年前

突如浮上したJリーグの2ステージ制移行案。メリット見えにくい改革案は日本サッカーのためになるのか?

text by 鈴木康浩 photo by editorial staff

早急な結論は出すべきではない

 よって、シーズン移行の議論でもウィンターブレイクが明けるのは2月が有力案だったように、今回の2ステージ制への移行案でもシーズンの始期を前倒しし、2月上旬の開幕を有力としている。

 これはチャンピオンシップ開催による過密日程を順調に消化するための方策でもあるのだが、ACL緒戦に万全を期すためという理由も含まれているのだろう――というのが筆者の見立てである(過密日程となった場合、ACLの戦いにどれだけ影響が出るのかという見方もあるのだろうが)。

 しかしながら2月にJリーグが動き出す場合、雪国クラブでは積雪のため、現地で試合を開催することも、トレーニングも行うことも困難を極める。たとえば、新潟は、2月中はキャンプ地をベースにアウェーでの連戦を戦わざるを得なくなる可能性も生まれる。

 新潟の田村貢社長が「このご時世に本当に(2ステージ制移行によって)新規スポンサーがつくのか。デメリットの方が大きい」と断固拒否の姿勢を示した(新潟日報5月21日付け)のも当然のことといえる。

 Jリーグが何らかの改革を進めなければジリ貧になるのは明白であり、現状打破のためには2ステージ制への復活も試してみる価値はあるように思えるが、やはり、移行によって雪国クラブが負担をこうむるのであれば、当然ながら何らかの補償は必要だ。

 それらを含めて、各クラブが十分に納得できるだけの道筋が見えないまま2ステージ制へ移行するのは乱暴なやり方だ。6月に結論を出すのは早計、もっと議論を深める必要があるのではないか、というのが筆者のスタンスである。

【了】

関連リンク

サッカー批評 ISSUE62
サッカー批評 ISSUE61
サッカー批評 ISSUE55

1 2 3 4

KANZENからのお知らせ

scroll top
error: Content is protected !!