2ステージでのメリットはどこにあるのか?
対して2ステージ制は、純粋にJリーグ発信のJリーグのためのJリーグ改革案であって、デメリットも明白だが、根拠に乏しいもののメリットも明白。Jリーグの本気度もひしと伝わってくる。Jリーグの中では、2ステージ制とシーズン移行の議論はまったく別物だろう。
だが、Jリーグが十分な議論もしないままに2ステージ制への移行を急いでいる感も否めない。この点については、次号のサッカー批評で直接Jリーグに取材をしたうえで真相を解き明かしたいと考えているのだが、その取材の準備段階として先方にぶつけるための仮説を記しておきたい。
一つは、来年W杯が開催されるということ。(もちろん日本代表が本大会に出場することを前提にするが)夏季にJ1を中断せざるを得ないため、導入のタイミングとしてちょうど良い。
もう一つは、2ステージ制への移行によって、JリーグクラブがACLを戦うための環境整備を少しでも改善できるということ。そのタイミングが、前者の理由と相まってベストであるということ。どういうことか。
Jリーグの有力クラブからは(ACL出場組はナビスコ杯の予選が免除されるというように)「ACLを戦うための十分な配慮をしてほしい」「Jリーグが開幕する前にACLの予選が始まるという状況はいかがなものか」といった声がJリーグ実行委員会で度々挙げられている。
Jリーグとしても今後のアジア戦略のためにJリーグブランドの価値を高めることは重要課題の一つで、JリーグクラブがACLを制覇することは絶対必要条件。Jリーグと有力クラブの総意として、シーズンの始期を少しでも早めることでACLの緒戦を万全に戦い、アジア王者の称号を取り戻す可能性を高めたい、との意向がある。これはシーズン移行の議論の取材過程でもたびたび耳にしたことだ。
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