FC東京の綻びを生んだ鹿島のポジションチェンジ
サイドの選手たちが少しずつポジションを後方に下げたことにより、FC東京の選手たちは彼らを捕まえるために、少しずつ前に出なければならなくなった。
そのちょっとした変化が前半にはなかったスペースを生む。47分、ロングボールを岩政が弾き返し、そのセカンドボールを遠藤が拾ったのだが、相手ボランチの横のスペースでボールを受けた遠藤はほぼフリーの状態だった。
その後、柴崎、ダヴィ、大迫と繋いだパスに対し、前に出るベクトルを働かせたのは柴崎にプレスをかけた米本のみ。最後は大迫がきっちりとゴールを決め、前半には無かったゴールに戻りながらの守備を強いることに成功したのである。
「1点取った時点で、これは逆転できるな、という確信に変わりました」
セレーゾ監督が、試合後に述べた通り、このゴールによってスタジアムの雰囲気は一変する。鹿島の2点目は、大迫に二人のマークがついてしまったことで遠藤がフリーになったところから。3点目は、試合の流れに入れなかった交代選手の通常では考えられないミスから。わずか18分の逆転劇ではあったが、その怒濤の流れの変化は圧倒的だった。
「FC東京さんに対する守備というのは体力も消耗するし、頭も使わないといけないなかで、後半、選手たちが運動量、あるいはパワーダウンせずギアチェンジしてこれだけのサッカーを見せられたことは非常に満足しています」
セレーゾ監督は、わずかな隙を見逃さず、逆転勝利という結果を残した選手たちを最高の笑顔で讃えていた。
【了】
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