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Jリーグ 11年前

鹿島、鮮やかな逆転劇。選手たちは試合のベクトルをどう変えたのか?

25日、ホームにFC東京を迎えた鹿島アントラーズ。2点を先制される苦しい試合展開の中、後半の3ゴールで鮮やかに逆転。鹿島は前後半で何を変えたのか?

text by 田中滋 photo by Kenzaburo Matsuoka

2点のビハインド。突破口はどこに?

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【写真:松岡健三郎】

 全員がすばやく帰陣して自分の受け持つポジションに着く。鹿島の選手たちが攻めに転じようとするときには、すでに美しい守備陣形を整い、攻撃を待ち構えていた。

 前半のFC東京の守備は、美しいバランスを保っていた。DFラインに4枚、中盤に4枚、そして2トップも自陣にセットする陣形はラインも高く、中盤をコンパクトにするため、楔を打ち込むスペースはほとんどない。

 突破口を開こうと、相手の背後にロングボールを送り込むが、そのセカンドボールの集散についても相手の方が反応が早い。前半、攻撃の糸口はほとんどつかめなかった。

 それでも、李忠成の1点だけならダメージは少なかったかもしれない。しかし、前半終了間際、パスワークで守備を崩され、最後は渡邉千真が鋭いシュートをゴールに突き刺す。2点のビハインドを背負ったときは、さすがに勝機を見いだすのは難しかった。

 ポイントは、ベクトルを変えることにあった。タッチラインに開いた野沢拓也や遠藤康にパスが入ると、ボランチの高橋秀人や米本拓司がボールを奪いにアタックに走る。つねに前を向いたベクトルは、ボールを奪った後の攻撃の推進力にもなっていた。これを、ゴールに戻りながら守備をする、後ろ向きのベクトルに変えることが、鹿島の突破口と言えた。

 ハーフタイムで冷静に戦況を見つめた選手たちは、少しずつポジションを変えている。

「前半は中途半端な位置を取っていたんですが、後半はセンターバックと同じ高さにするようにしました」

 この日は右サイドバックに入っていた青木は、岩政らセンターバックの横に位置取ることで、ロングボールを蹴る場合でも正面からではなく斜めからの角度を付けることを考えていた。

 また、FWと同じ高さに立って、裏のスペースを狙うことが多かった中盤の遠藤も「前の選手が攻め急いでいた」と振り返り、中盤でのセカンドボールを支配することに意識を変える。

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