石原はダーティなプレーをしていたのか?
88分のシーンについては、広島・石原のコメントを取ることができたので紹介する。
――あのシーンでは、どういう経緯でぶつかってしまったんですか?
石原 先にボールを触られたから、(阿部の)側を通り抜けようと思ったら、(阿部が)ボールを持ちながら振り返って。
――たまたま当たってしまった感じなのでしょうか?
石原 多分(阿部は)早く始めようと思って、勢い良く振り返ったんです。で、僕はこうやって(まっすぐ)走っていたから、そのタイミングで彼の頭がここ(と腰のあたりを指す)に当たってしまったんですよ。
湘南と広島のミックスゾーンが離れていたこともあり、阿部のコメントを取ることはできなかった。このため、「加害者」石原の言い分だけを載せるなとお思いの方もいるかもしれない。
しかし、このシーンに関しては映像を見返してみても、石原が走りこんでくるところを阿部は視認できておらず、ヘッドダウンしてから早めにボールを離そうとしたことで頭を石原の進行方向に差し出してしまった感がある。
一方、石原にしてもこぼれ球に反応して突っ込んできたため慣性ができ、急激にブレーキをかけたものの進行方向に入ってきた阿部をかわしきれなかった。ただ、石原が故意ではないことは、結果的に接触したものの左腕が伸びていることからもわかる。故意に肘を当てようとしたなら、彼の左腕は阿部の方に向けて曲がっていなくてはならない。
以下は余談になるが、広島に加入してからというもの石原は昨季32試合で警告1枚という比較的クリーンな選手である。また、試合後も湘南でプレーした6年間について話すなど、古巣への思いは強かった。
自分自身にゴールがなく焦っていた、という可能性はあるが、コメント・映像・他の経緯など考えても、石原がこのシーンで阿部にダーティなプレーをしたとは考えにくい。