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もし香川がドルトムントに残っていたらバイエルンに勝っていたか?

text by ブックマン二郎 photo by Kazhito Yamada / Kaz Photography

メリットはあるもデメリットも

 試合は拮抗していた。ドルトムントにもチャンスはあったが、詰めの甘さを見せてしまったのも事実。まずシュートの精度がやや足りなかった。両チームのGKはレベルが高く、ビッグセーブを連発していたが、決める余地はあった。決勝戦という舞台で気合が入りすぎていたのか、皆力んでいた。

 GKのタイミングを外す、フェイントをかけるといった場面は少なく、全力で蹴り込んでいた(皮肉にもロッベンの決勝点はゴールへ流し込んだもの。強さはない)。相手をあざ笑うかのようなシュートは香川の得意とするところ。

 組み立ての部分で少し物足りなさも感じた。香川在籍時には彼にボールを集め、そこから360度、どこへでも展開できた。この日のドルトムントは縦へのスピードは見事だったが、サイドバックの有効活用など、展開力がやや足りかなった。

 一方、疑問に思うこともある。香川がいて、決勝まで勝ち上がれただろうか、という点だ。香川が抜け、崩しの局面でのバリエーションはやや少なくなったが、その分スピードは増した。ある程度守備的な戦いをしながらも得点を奪えるようになったのだ。

 爆発的な攻撃力がある反面、脆さもあった“香川中心”のドルトムント。香川は守備への不安も抱える。香川がいる状態で接戦となったマラガ、レアル・マドリーとの試合をものにできたかどうかはかなり怪しい(今季のマドリー戦で香川は通用しなかった)。

 さらに言えば、今季、香川はケガをして長期離脱をしている。ドルトムントを支えていたのは他を圧倒する連動性と高い組織力だ。チームの中心選手がいない時期があればここは保たれないだろう。

 こうしてみると、香川がいることによるメリット・デメリットはどちらもある。であれば結論としてはどうなるか。私は、香川がいればドルトムントはバイエルンには勝利できた。だが、決勝までたどり着けなかった、と見ている。これが思考実験の結果だ。皆さんはどう思うだろうか。

【了】

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