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Jリーグ 12年前

日本代表に選出された工藤壮人が持つ“柏の背番号9”に対する哲学と強い責任感

text by 鈴木潤 photo by Kenzaburo Matsuoka

昨年から口にすることが目立つ「駆け引き」という言葉

 昨年の途中から、工藤は「駆け引き」という言葉を頻繁に口にするようになっている。

 対峙するマーカーを外すために様々な予備動作を繰り返し、タイミングやポジショニングなど、駆け引きの部分でDFを上回るケースが増えたことは、このところのゴールラッシュを生む要因である。

 その巧みな駆け引きは裏への抜け出しの他、ポストプレーにも反映されており、ポストプレー自体もユース時代から高いレベルにあったが、当時は体をDFにぶつけて、がっしりとボールを収めるプレーが多かった。しかしレベルの高いプロのDF、しかも自分よりも体の大きな相手とまともにフィジカル勝負をしては勝てるはずもない。

 そのため駆け引きをしてマークを外すことでDFとのコンタクトを極力避け、寄せられた時には俊敏なターンでかわす術を身に付けていく。試合に出場し、場数をこなすことでプレーの質は磨かれていき、今では裏への抜け出し、ポストプレーとも駆け引きの妙が光る。

 また、今年は上記した得意のパターン以外にも得点バリエーションが広がっている。

 例えばJ1第5節名古屋戦では、3人のDFに囲まれた中をドリブルで突破してゴールを決め、第10節横浜FM戦では、ペナルティエリア外から思い切りのいいミドルシュートをネットに突き刺した。

 本人が「あまり得意ではない」というヘディングシュートも、「タイミング良く入ればDFに勝てる」と話し、実際にヘディングによるゴールも増えている。

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