カギを握るシュバインシュタイガー
であればバルサ戦2ndレグと同じ――バイエルンは通常通り前方から激しいプレスを仕掛けてくるはずだ。ドルトムントは1つひとつのプレスを冷静にかわす必要が出てくる。無理にパスを通そうとすれば、中盤からはシュバインシュタイガーとハビ・マルティネスが飛び出してくる。ショートカウンターを浴びてしまうだろう。
ただ、バイエルンはロッベンとリベリーがどんどんと中へ切り込んでくる。分厚い攻撃を仕掛けてくる反面、サイドの守備が手薄になる局面がある。そこでドルトムントはサイドバックのピシュチェクとシュメルツァーが勇気を持って前線に上がれるかどうかがカギになる。
得意の走り合いに持ち込めば、バイエルンもラームとアラバだけでは対応できなくなる。ロッベリーが下がらざるを得ない状況となり、バイエルンの攻撃力を削ぐことができる。
そして、この試合の行方を左右するのはシュバインシュタイガーになるだろう。ドルトムントよりも丁寧につないで崩そうとするバイエルンだが、ゲームを動かしているのは中盤のシュバインシュタイガー。彼の展開力への依存は大きい。
同じくボランチのハビ・マルティネスはどちらかと言えば相手を削るタイプで、センターバックもそこまでビルドアップは上手くない。シュバインシュタイガーのパフォーマンスがバイエルンの攻撃の質に与える影響は大きく、ドルトムントとすればここは絶対に抑えなくてはならないポイントだ。
下馬評ではバイエルン優位の声が多い。ウィリアムヒルのオッズでもドルトムントの優勝が3.00に対し、バイエルンのそれは1.40となっている。だが、こうして見ていくとそこまで有利ではないことがわかる。
実力が拮抗しているだけに予想は難しい。敢えてするならば、バイエルンのプレスに苦戦するもシュバインシュタイガーを抑えたドルトムントが打ち合いを制して栄冠を手にする、としておこう。
そしてそのときゲッツェはどんな表情を浮かべるだろうか。勝敗がどうなろうと、それが一番楽しみでもある。
【了】