ゲッツェ移籍も絡み因縁めいた対決に
決戦の火蓋が切られたのは数ヶ月前だった。
圧倒的な戦力で敵をねじ伏せてきたドイツの巨人は、自分たちよりも小さいにもかかわらず真正面から刃向かい、傷を負わせるまでに成長した若き軍団に脅威を感じていた。国内での争いが、そのまま欧州での覇権を決定付ける試合になることを予感していたのかもしれない。
バイエルン・ミュンヘンはライバル、ボルシア・ドルトムントからマリオ・ゲッツェを“強奪”。加入は来季からだが、一大決戦に若きエースは出場しない。
公式発表は“負傷のため”であるが、ゲッツェの精神状態が正常ではなかったことは容易に想像できる。体調が万全でも本来のパフォーマンスを発揮できなかった可能性は高い。キックオフ前にバイエルンはアドバンテージを得ていた。
ここまで徹底するのも理解できる。過去4年で3回目となるチャンピオンズリーグ決勝進出を果たしたバイエルンだが、優勝はなし。しかも、相手のドルトムントは是が非でも勝ちたい相手だ。
今季こそ2勝2分と勝ち越しているが、その前の2年間では5連敗。昨季のドイツ・カップ決勝では2-5と攻撃力が自慢のチームが打ち合いの末に惨敗。苦汁をなめさせられていた。捲土重来を期していた今季のバイエルンにとって、憎き相手を倒しての三冠達成(国内リーグ、カップ戦、CL)となれば、至上の喜びだろう。
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