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Jリーグ 12年前

仙台・ウィルソンの不可解な出場停止。協会の誠意なき対応が招いた重大な過失

text by 加部究 photo by Kenzaburo Matsuoka

仙台だけでなく、ファンに対しても重大な裏切り行為

 AFCがスムーズに処分を決定していれば、ウィルソンは大宮戦を欠場していたことになる。一方横浜戦は、仙台が多少劣勢だったとしても、何度かの決定機は演出した。ウィルソンがプレーしていれば、勝ち点「1」は「3」に変わっていた可能性もあるし、この試合では大黒柱の梁勇基も故障で欠いただけに、仙台への痛手は倍加した。

 今回の処分は、仙台だけでなく、ファンに対しても重大な裏切り行為になる。既に多くのファンは、ウィルソンの出場停止処分を知らずに、TOTOを購入している。

 ウィルソンは、チーム最多の5ゴールを挙げているエースストライカーだ。出場するかどうかは、予想をする上でも重要な材料になる。もしこんなことが続けば、TOTOの購入意欲を失うファンが出てきても不思議はない。またそれ以前に、わざわざスタジアムへ足を運んだら、理由もわからずお目当てのウィルソンが不在で落胆したファンもいるだろう。

 AFCはウィルソンの退場劇から2週間以上も経過してから、唐突に2試合出場停止を通達してきた。そして日本協会は、その通達をそのまま仙台に流したのだろうが、そこに仙台のための尽力や、ファンへの気遣いは見えない。機構が、主役が誰なのかを忘れ、単に上意下達を繰り返すだけになったら、成人後のJリーグは厳しくなる。

【了】

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