ウィルソンの出場停止通達は、遠征のバスに乗り込んだ矢先だった
ACLを終えた仙台は、AFCに2点を問い合わせていたという。まずウィルソンのケースが本当に退場に値するのか。そして出場停止が1試合なのか、2試合なのか、だった。
取り敢えず仙台は、ACL最終戦の次戦に当たるJリーグの名古屋戦でウィルソンをベンチに入れなかった。その後、AFCから何の通達もないので「出場停止処分は消化した、と解釈していた」(手倉森監督)そうだ。実際次節の大宮戦にはウィルソンも出場。自らも2点目のゴールを決め、遂に首位を走る大宮の連続無敗記録が止まった。
ただしこの段階でも、AFCからは最終決定の通達がないので、仙台側は念のために折衝役の日本協会に強調しておいたという。
「まさか2試合(出場停止)にはならないですよね。(出場停止が増えたという)通達が試合前日とかに来るのでは困りますよ」
こうして仙台は、横浜戦への準備を進めた。
手倉森監督は、ウィルソンのスタメン起用を決め、戦術的な練習も済ませ、いよいよスーツに着替えて遠征のバスに乗り込む。そんな矢先に「ウィルソンの出場停止は2試合」という通達が届くのだった。
ウィルソンが退場になった江蘇舜天戦からは、既に17日間も経過し、その1週間前には復帰も果たしている。これではまるで狙い撃ちで試合直前の仙台に嫌がらせをしたようなもので、手倉森監督の業腹も当然だった。
「AFCの判断の遅さに腹が立つ。Jリーグを代表して戦ってきたのに、どうして憂き目にあうのか。だったら処分の適用は、次節でも良いのではないか」
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