東のストロングポイントと代表の未来像
東に関してはロンドン五輪で4位に躍進した“関塚ジャパン”の中心的な存在で、当時からザッケローニ監督も継続的にチェックしてきたと考えられる。彼は高い位置で正確にボールを捌くことを得意とするが、止まっている場面が少なく、パスを出した後もすぐにポイントを見極めて動き出し、受け手の側にもなれる。
そして波はあるものの、味方のFWが空けたスペースにタイミング良く飛び込む判断力と決断力も非凡だ。
大事なのは、彼らは闇雲に動き回っているのではなく、しっかり周囲を観察しながら、素早い判断と決断力で効果的なプレーにつなげていることだ。その意識と動きがチームで結び付き、相乗効果を高めていけば、体格や身体能力に勝る相手を“インテンシティ”で上回り、本来の技術を発揮できる。
今回のブルガリア戦で彼らが出場するチャンスはわずかだろうし(工藤はJリーグの日程的な都合で試合当日の合流)、オーストラリア戦では23人のベンチ入りも難しいかもしれない。しかし、彼らの選出によってザックが新戦力に求めるスタンダードは見えてきた。
ここまで固定的なメンバーで予選を戦ってきたザック・ジャパンだが、オーストラリア戦でW杯の出場が決まればいよいよ、本大会に向けた強化プランが動き出す。
そこで新たに代表入りを目指す選手たちが、ボールテクニック、スピード、アイディア、シュート力といった個々の持ち味を大事にしながらも、チームに“インテンシティ”をもたらすベースを磨くことが求められるはずだ。
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