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編集日記 12年前

藤田俊哉とセカンドキャリアについて考える【李勇秀 編集部というお仕事】

text by 李勇秀 photo by editorial staff

どんなときでも環境が人を育てる

――今年(2012年)の5月に労使協議会がありましたね。こういうシステムができていくというのは大切なことですね。もちろん、お金が動くことですからなかなか先には進まないと思いますが、継続していくことが何より重要になります。

「それが選手会の求めることですね。どんなときでも環境が人を育てますから、まずは環境を整えないと、未来がない。さまざまな外的要因、たとえば日本の経済が冷え込んだりとか、東日本大震災があったりだとか、いろんなことがあるのは事実だけど、それは仕方のないことなんですよ。全部を外的要因のせいにしては前に進まない」

――若いころは、多くのJリーガーが若くしてやめていかなければならない現状だとか、引退後は少年サッカーのコーチの職をやるんだけれども、給料が安くて生活がたいへんだ、みたいな事はあまり考えないと思うんです。選手としての藤田さんはいつごろからこういう問題を考えるようになったんですか。

「確かに20代の僕が今みたいな考えがあったかっていうと、おっしゃるとおり自分のことしか考えてませんでした。ファーストキャリアを磨きたいに決まってるんだから、セカンドキャリアなんて誰かの話でしょ、と思っていた。でもそれはしょうがないことなんですよ。

 だからこそ僕らみたいなそういうことを考えられるような人間が、彼らの知らない間にそういう制度を作っておく必要がある。まあ、僕がこういうことを考えるようになったのは、自分のまわりがやめていったころです。僕は幸せにも長くできたんですが、自分の同級生はどんどんセカンドキャリアに向かっていっていて『あらららら』と思っていた。引退ってあるんだなあって」


 本書では、藤田俊哉氏の選手の現状へのさらなる問題提起や、自身のオランダ行きについても語ってくれています。よろしければ、『Hard After Hard かつて絶望を味わったJリーガーたちの物語』をお手にとって、ご一読下さい。

【了】

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