『サッカー批評』での人気連載『Hard After Hard』が書籍化となり、5月23日発売となります。
『消えたマンガ家』『萌えの研究』などノンフィクション作家として定評のある大泉実成氏が、現役生活もハード、引退後もハードな「サッカー選手の生きざま」を様々な側面から掘り下げています。
サッカー選手が1人の人間として、プロであることの喜びや厳しさ、怪我などのアクシデントによる苦悩とどう向き合っているのか? またどのようなセカンドキャリアを歩んでいるのか。
財前宣之、船越優蔵、礒貝洋光、森崎嘉之、中田英寿といった選手が登場しますが、今回は日本プロサッカー選手会の会長を務めていた藤田俊哉氏への取材を一部公開させていただきます。
――僕は茨城県民でアントラーズファンですから、選手藤田にはいつも痛いところで点を取られてきました。そういうスーパーな選手としての藤田さんが、選手会長としてJリーグ全体、特にセカンドキャリアの問題について取り組まれてきた。選手会長として取り組まれてきたことと、いざ自分が引退して、セカンドキャリアを歩まれることになって、それをどう感じているか、というところなんですが。
「率直なところを言うと、自分が思っているほど他人は自分の事を見てない、ということですね。ちゃんと見てんのは親ぐらいですよ。で、そのときに見える景色っていうのは、また違った景色で、山を登っているときの景色と、下っているときの景色があるから登山なわけです。僕は登っているときの景色は現役のいいときに見てきました。今年(2012年)の1月から半年でその山を下ってきたわけですけど、そのときの景色もとても勉強になった。
そこですごく良かったなと思うのは、現役時代にきちんと付き合ってた人たちは、助けてくれたり支えになってくれたりする。自分がどんなときでもきちんと対応する大切さを感じますね」