カギを握る明神の復調
本来のパフォーマンスではなかった明神の評価を問うた筆者に対して指揮官は「先ほども言ったが、なかなか使えなかった明神を使えたのは色々な意味で収穫だった」。選手個々についての評価は時にメディアを通じて一人歩きしかねないだけに、長谷川監督が一記者に対して本音を明かす必要がないのは重々承知の上だが、「色々な意味で」の真意が気になるところ。
――具体的なプレーには満足しなかったのか。それとも使えたことがとりあえず満足だった?
二の矢をついだ筆者が得た答えは「(明神の)状態が把握できた。使わないと分からないので。30分、ホンチャンのゲームで明神を使えたのはチームにとって良かった」(長谷川監督)。
どこかオブラートに包んだ口ぶりに、長谷川監督の思いが透けて見えた感じがした。
他ならぬ明神自身は、厳しい自己採点を与えている。「自分自身のプレーに関しては物足りないし、反省点ばかり」。百戦錬磨の強者ではあるが、「分かっていたつもりでも途中から試合に入る難しさが非常にあって、その中でどう持てるものを出せるかというところが自分でも出来なかった」と振り返る。
今年1月に35歳を迎えたチーム最年長に、全盛時の運動量を求めるのは酷であるが、武井択也がベンチ入りからも遠ざかっている今、期待されるのは明神の復調だ。内田の成長というポジティブな材料と、実績十分な明神と武井の低調さという懸念材料を抱えながら、代表組不在の6月を迎えることになる。
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