限られたなかで最強チームを作り上げる方法とは?
出場権の獲得は最低限のノルマだったが、サポート体制は十分ではなかった。強化試合は限られていたし、香川をはじめ、望むメンバーが招集できないことも一度や二度ではない。だが、理想はひとまず脇に置き、現有戦力を最大限に生かした手堅いチーム作りで出場権を掴むと、本大会ではスカウティング力も発揮され、勝ち進む。
熱血漢の反面、ピッチの外では対話を重んじるアニキ気質。川崎では「セキさん」と呼ばれて慕われていたが、五輪代表でも「セキさんを男にしたい」という声が聞かれたし、ゴールを奪った大津は真っ先に指揮官のもとに駆け寄って抱きついた。
川崎時代、J1昇格2年目でACL の出場権を獲得したのは「予想を超える早さ」と本人も語っていたが、オリンピックでもベスト4に進出し、44年ぶりの快挙を成し遂げた。そして、そこまで行きながら、川崎ではタイトルに縁がなく、オリンピックでもメダルを逃したという点も……。
ただし、今回に関して、関塚監督に「あそこまで行きながら……」と言うのは酷だろう。強化日程とメンバー選考で制約が多かったことを考えれば、あのメンバーで、あの戦い方しかできなかったと思うからだ。
若手を育てながら、手堅いチームを作りあげる手腕が関塚監督にあるのは間違いない。だから今度は、相手から徹底的にマークされるような強豪チームで、タレント集団を束ねる姿を見せてほしい。このところ、五輪代表を率いた指揮官がその後、着実にキャリアを重ねているとは言えないだけに、期待したい。
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