ディテールをどこまで積み重ねられるか
3つ目のポイントは「移民」だ。
ドイツは元々移民の多い国だ。現在の代表でもエジルやクローゼ、ポドルスキなど移民の選手はいる。ドイツ協会は移民を積極的に受け入れることにした。ユース年代で5年過ごせば、代表になれる権利が与えられるという。
例えば、ボルシア・メンヘングラッドバッハでレギュラーを奪いつつあるペニール・ムラパ。U-19やU-21ドイツ代表に選ばれた経験のあるトーゴ出身のFWは既に条件をクリアしている。鈴木氏曰く「将来の代表を背負って立つ選手」であるという。
ドイツ躍進の理由を集約すれば結局のところ「育成」になる。こう言えば、特別なことはしていないように思える。誰もが思いつくことであり、育成を重視しない国はない。問題はどこまで突き詰められるか、であろう。
試合に勝つためには、パスやシュート、体の向き、数センチでもズレないように細部を極める必要がある。そのディテールの積み重ねをピッチ外でも行わなければならない。
ドイツは1000人の指導者を派遣し、トレーニングセンターや寮を義務付け、地元選手枠を含めたドラスティックなリーグ改革をした。なかなか出来ることではない。まだ完成度が高まる可能性はあるが、ドイツはひとまずやり切った。優れたドイツ人選手を育成することで、クラブと代表、双方が強化された。理想的な循環である。
他国はまだ出来ていない。ドイツの右肩上がりの成長は今後も続くだろう。
【了】