雨天の多かった昨季 浮き彫りになった味スタの課題
今季、主に取り組もうとしているのは雨対策だ。
「観客があまり入っていない試合は雨で寒い日。昨季ホーム開幕の名古屋戦、僕らは少なくとも2万8000人、予測では3万人を超えるかとも思っていたのですが、蓋を開けてみれば2万1757人。イングランドのように雨でも寒くてもスタジアムに来て観るサッカー文化は、日本ではまだ醸成されていませんし、はたしてそうした文化が根付くかどうかもわからない。そこは頭に入れておく必要があると思います」(阿久根社長)
そこを踏まえ、FC東京2015VISIONに掲げたスタジアムのワンダーランド化を推進する直接の担当である小林は、顧客満足度を上げることが必要だと考えている。
「昨年は雨が多かったのですが、そのことで、降ったときに屋根から雨が垂れる座席があるという問題点が明確になりました。ドームではありませんから、ある程度吹きこむのは仕方のない面もありますが、本来濡れないと思われていた上層階でも雨に晒されるというのは問題です。今年はそこを改善します。ファンのみなさまのそのような声を受け入れ、できることから一つひとつ対応していかなければならないと考えています」
コアなファンに友人、知人を連れてきてもらったとしても、スタジアムの観戦環境がよくなければ次はない。二度、三度と繰り返し足を運んでもらうためにもハードの向上は緊急の課題になっている。小林がさらに続ける。
「ソフト面においても、今までは私たちの動きが鈍く、お客さまからクレームが出て初めて対応に動いていたところを、こちらから率先して雨に濡れない席に誘導するなど、人的に対応していきたいと考えています。もちろん、そうした策を講じたからいきなり観客が何千人も増えるものではありませんが、少しずつでも人を誘いやすい環境にしていくことが重要です。
いくらワンダーランド化と言っても環境がよくなかったら実現は難しい。味スタをホームとしていかに居心地のいい場所にしていくか。ハードの改善を提案するのもソフトを考えるのも僕らの仕事です。初めてのお客さまが来てくれたときに、いい印象を残すかどうかでその後が大きく変わると思います」