観客動員が減少したのはなぜか?
05年の年間平均観客動員は2万7101人を数えた。それを3万人、そして満員にしていくためにはどうしたらよいのだろうか。
現状認識のベースは東日本大震災前の2010年度と昨年度との比較にある。阿久根社長は言う。
「若くして期待されている選手が続々と海外に移籍していく状況でJリーグをやらないといけない。これは正直厳しい。年間平均観客動員数を10年と比較すると12年は概算でJ1平均が1000人減(1万8428→1万7566)、ウチも1000人減(2万5112→2万3955)で、これはトレンドとほぼ一緒です。しかし浦和が3000人減、新潟が5000人減、横浜F・マリノスが3000人減、鹿島が5000人減、名古屋が2000人減と、軒並み3000人以上も動員数を落としています」
長引く不況で財布の紐が硬いのはもちろんだが、実はFC東京のSOCIOは増加している。それでいて観客動員総数が減っている点に危機感を抱いていると、大金常務は言う。
「年間チケットの購入者は増えているが観客動員は減っている。これはつまり年間1、2試合見に来るようなライト層が減っているということなんです。ボトムが減ってきている。これは危険な兆候です。2年後、3年後にジャブが効いてくるサインでしょう。これからファンになってくれる層に注力して、もう一回ボトムアップしないと将来につながらない」
この実態を阿久根社長の言葉も裏付ける。
「SOCIOの継続率が90%くらいなんですよ。9000人いたら900人が転居や仕事の都合で非継続となっている。飽和状態と考えるか、新しい営業ができていないと考えるか。分析の結果、非継続となるのは、入会してから2、3年目の人が圧倒的に多い」
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