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日本代表 12年前

成長なきザックジャパンと相反する監督への高評価 代表の未来に感じる危険な兆候【ブラジルまでの果てなき航路】

text by 北健一郎 photo by Kazhito Yamada / Kaz Photography

『プランB』がないザックジャパン

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本田の個性に頼ったチーム作り【写真:Kazhito Yamada / Kaz Photography】

 例えば、このチームではトップ下の本田がクサビのパスを受けて、そこから攻撃を展開していくのがパターンとなっている。しかし、「どんなボールでも収めてくれる」(長谷部)、本田という個性がいなくなると、攻撃が途端に機能不全に陥ってしまう。

 本田が怪我のため代表チームを離れていた昨年は、本田不在時のオプションを作るという点では、ある意味“チャンス”だった。しかし、ヨルダン戦で露呈したように香川がトップ下に入ったときのチームのBプランは確立されていない。

 Jリーグで活躍した選手や、若手の選手の突き上げの乏しさは、ザッケローニ監督がその選手が旬のタイミングで起用しなかったことと無関係ではないだろう。

 1対1でDFを抜き去る能力に長けた宮市亮や、裏への飛び出しで得点を狙えるJリーグ得点王の佐藤寿人は、チームで好パフォーマンスを見せていたときに招集されたが、ザッケローニ監督はどちらにも出場時間をほとんど与えなかった。イタリア人指揮官は「誰にでもチャンスを与える」と公言していたはずだが……。

「ザックさんはワールドカップの出場権を決めるまではメンバーを変えたくないんだと思います。出場権を獲得したら動きが出てくるはず」

 ザックジャパンに名を連ねる、ある選手は言う。しかし、現実的にはザッケローニ監督が3年かけて作ってきたチームに劇的な変化を与える可能性は低いのではないか。本田のコンディションや前田遼一や遠藤保仁といったベテランの1年後を考えれば、現状のチーム力をキープできるという保証はない。

 守りに入った組織には停滞が起こるもの。4年間が終わったときに「結局アジアカップのときが一番強かった」とならないためにも、ザッケローニ監督にはもっとプレッシャーをかけるべきではないか。

【了】

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