責任が追求されないザッケローニ監督
ブラジルに向けて、ザックジャパンは何をするべきなのか――。この連載シリーズ「ブラジルまでの果てなき航路」のテーマはそこにある。しかし、大前提として考えなければならないことがある。本当にザッケローニ監督に託していいのか? ということだ。
就任直後にアジアカップを制したことや、アルゼンチンやフランスと言った強豪国から金星を挙げたこと、そしてワールドカップ最終予選でも危なげなく出場権を決めようとしていることから、ザッケローニ監督への評価はおおむね高い。「ザッケローニ監督でワールドカップに行く」ことを疑う人はいない。
だが、本当にそれでいいのだろうか。現在のザックジャパンを取り巻く雰囲気に「ゆるさ」を感じることは少なくない。
1-2で敗れた先日のヨルダンとの試合後も、表立って批判を受けたのはセットプレーのマークを外した岡崎慎司であり、カウンターでドリブル突破を許した吉田麻也。メンバーを決定し、采配を決断したザッケローニ監督の責任を追及する声は皆無だった。
これは危険な兆候と言えるのではないだろうか。
2010年の南アフリカワールドカップ後、日本代表監督に就任したザッケローニは日本を飛躍的に強くしたと言われている。とはいえ、実際にザッケローニ監督が行ったのは、乱暴に言えば「選手を適材適所に配置したこと」だけである。