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Jリーグ 12年前

なぜ槙野智章は広島に戻らなかったのか? 代理人が語る移籍市場の見方

選手の移籍はチームへの裏切りである。サポーターがそんな印象を持ってしまうのも、その内情があまり知られていないからではないだろうか。『サッカー批評62』では数多くの選手の代理人を務める株式会社ジェブエンターテイメント代表取締役の田邊伸明氏にインタビューし、「移籍事情の正しい読み解き方」を語ってもらった。

text by 飯尾篤史 photo by editorial staff

双方にとって良かった梶山の移籍

 選手が「少しでも高いレベルに身を置いて成長したい」と思うなら、私たち代理人はそれが実現するように、全力でサポートしたい。

 今年の1月には、FC東京の梶山陽平をパナシナイコスに期限付き移籍しました。梶山は以前からずっと海外でのプレーを希望していたけれど、なかなか実現できなかった。それはもう、私たちの力不足なんだけど、クラブは本人の意向をずっと理解してくれていたんです。

 それで今年になって、ようやく実現したんだけど、FC東京も準備をしていたから、梶山を送り出すと同時に、大宮アルディージャから東慶悟を獲得しています。

 梶山としては長年の希望が叶い、FC東京としても世代交代を促せたわけで、双方にとって良い移籍だったんじゃないかと思います。もちろん、梶山にとっては、戻ってきても居場所がないかもしれないけど、本人もそれを承知でチャレンジしている。

 FC東京のサポーターも成熟しているから、クラブのアカデミー出身者で背番号10の選手が出て行くことに、理解を示してくれたように感じます。

 このように、選手が海外移籍を希望している場合は、早い段階でクラブに伝えるべきだと思っています。2001年に稲本潤一(現・川崎フロンターレ)がガンバ大阪からアーセナルに移籍したときも、私たちは事前に伝えていました。だから、ガンバ大阪は遠藤保仁を獲得できたんです。

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