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Jリーグ 12年前

川崎フロンターレ復調の要因 プレッシングを逆手にとる“絶妙な距離感”に迫る

text by いしかわ ごう photo by Kenzaburo Matsuoka

相手のプレッシャーを逆手にとった中村憲剛

 例えば中村憲剛はシンプリシオと扇原貴宏のダブルボランチから厳しい監視を受けていたが、まるでそれをプレッシャーと感じていないようだった。逆にその状況を逆手に取って、受け手になれる味方を使いながら、前傾姿勢になっていたセレッソ大阪のプレッシングを空転させている。

「今日は自分のところにシンプリシオと扇原が来ているから、僚太(大島僚太)にはそこの背中を狙えと言っていた。あそこが空くから、僚太が間にスッと入って、どんどん中に侵入できている。

 今は相手がボールを取りに来ても、僚太がいて嘉人(大久保嘉人)がいて、真希(山本真希)がいるから、ボールを回すのは苦じゃない。裕介(田中裕介)もできるし、やりやすいよ」(中村憲剛)

 だから、あとはそこで決め切るかどうかの問題と言える。この試合でチームが放ったシュートは19本。「あれだけチャンスを作って2点しか取れなかったですから。もっとチャンスを確実に決めていけるようにしないといけない」とは山本真希の弁だが、決定機の数ならば、圧倒的に相手を上回っていたのは明白だった。大事なのは、この姿勢を継続していくことである。

 今週、サッカー界にはマンチェスター・ユナイテッドのファーガソン監督退任というビッグニュースが駆け回った。その話題を風間監督に向けてみると、こんな見解を話してくれた。

「ファーガソンが偉大な監督であるのは間違いない。ただそれ以上に、ヨーロッパのトップクラブは、歴史を作っていくことやスタイルを作っていくということに対して、我慢してブレずにやり続けていくクラブ全体の力がある。監督だけの力じゃないよ。哲学を通して強くなるんだ」

 自分たちの距離でサッカーが出来始めた風間フロンターレ。頑固な指揮官のもとで、かたくなに積み上げてきた攻撃的なスタイルが、少しずつ結果に結びつき始めてきた。

【了】

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