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投資家への配慮か? 突然のファーガソン退任劇の理由と次期監督候補モイズへの大きな重圧

text by 斎藤史隆 photo by Kazhito Yamada / Kaz Photography

現地では早々とモイズが最有力候補に

 この段階でユナイテッドは動かなければならなかった。クラブは昨年8月、資金調達のためにニューヨークの証券市場で株式の一部を公開。監督交代など、クラブの経営の重大な決定について投資家に公表しなければならない。従って、ニューヨークの市場が開く前の8日午前、ユナイテッドはファーガソン監督の退任を発表することになった。

 イングランド国内の反応は衝撃と一時代の終焉を回顧する雰囲気に包まれた。もっとも本人は退任を撤回した2001年以来、「適切な時」を模索。その時がついに訪れたということなのだろう。

「私にとって大切なのは組織をできるだけ強靭な形にして退任することだったが、それは果たせたと思う。今回リーグ優勝したチームの質と年齢構成は引き続き最高のレベルで成功を収めるのに十分だ。一方、ユース育成の体制はクラブの長期的な将来が明るいことを約束している」と本人は語る。

 後任には今オフにレアル・マドリーを退団することが有力視されているモウリーニョ監督、ドルトムントのクロップ監督などの名前が挙がったが、現地各メディアは早々とモイズ監督ということで落ち着いた。早ければ9日にも発表がある見通しだ。

 しかし、ファーガソン監督がユナイテッドで獲得したタイトルは13度のリーグ優勝や2度のCL制覇など、合計37。確かなことは一つ。あまりにも偉大な指揮官を引き継ぐモイズ監督には相当の重圧がかかるということ。そしてそれを簡単に跳ね除けることを要求するのはあまりにも酷というものだ。

 ファーガソン監督を上回る成績を残す指揮官はおそらく永遠に出現しないのだから。

【了】

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