契約上はアンチェロッティの続投で決定だが…
35節のバランシエンヌ戦に引き分け、3試合残した状態で2位のマルセイユに勝ち点7差のパリ・サンジェルマンは、次のリヨン戦に勝てば1994年以来19年ぶりのリーグタイトルをものにする。と同時に来季のCL参戦は確実となった。
「上位3位に入ること」
これはPSGのオーナーであるカタール勢がアンチェロッティ監督に科した今季の命題。イタリア人指揮官の契約は2013年の6月までだが、この目標が達成できた場合は1年延長、というオプションが付いていたから、今季何度も囁かれた「解任」の噂も、これで収拾することになる。
…はずだったのだが、皮肉なことに、目標達成が現実的になるにつれて膨らんでいるのがアンチェロッティ辞任の噂だ。それも、指揮官自身が、解任を望んでいるという。
PSGの地元紙であるパリジャン紙が、『4月24日のミーティングで、アンチェロッティがアル・ケライフィ会長に「来季は続行しない」と宣言した』、と書いたのを筆頭に、各メディアも『すでにレアル・マドリーと口頭で合意』などと報じている。
アンチェロッティ自身は、「今は試合に集中したい」とはぐらかしているが、実際、今季彼が置かれた状況を振り返ってみると、より魅力的なオファー、といっても金銭的なものではなく、指揮官としてのやりがいを求めてチームを乗り換えたいと望んでもおかしくないと思える要素は十分にある。
第一に、アンチェロッティが、リーグ1という戦場でこのクラブを率いることに、老練の指揮官として醍醐味を感じているかは大きな疑問だ。
莫大な資金力による補強は、PSGと他クラブの選手層に巨大な差を生み出した。ライバルと言われる2位のマルセイユでさえ、強豪国の代表クラスは仏代表で“準”レギュラーのバルブエナくらいだ。