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Jリーグ 12年前

天才ドリブラー原口元気 異分子が見せた可能性に“パスサッカー”浦和の未来がある

text by 編集部 photo by Kenzaburo Matsuoka

パスサッカーを活かすアクセントとは?

 逆説的な物言いになるが、興梠の加入でボールポゼッションのクオリティが高まった結果、ピッチ上の選手たちがそこに注力し過ぎる傾向もあるのではないか。大宮戦では、相手が完全にマンツーマンでついてきているにも関わらず、半ば意地になってショートパスを繋ぐ場面が何度も見られた。

“パスサッカー”という方向付けはまったく間違ったことではないが、それを強く意識しすぎている印象がある。それで相手を崩して得点を奪えているのなら何ら問題はないが、崩しきれないのであれば、もっと簡単に裏を狙うボールを使い分けるなど、攻撃に緩急をつけていく必要がある。

 セレッソはそこまでタイトなディフェンスをしてきた訳ではなく、特に前半は浦和が思い通りボールを繋ぎ、試合を支配した。チャンスもいくつか作ったが、決定機と呼べるものはコーナーキックで那須がフリーで飛び込んだ場面と、平川が右サイドの深いところから興梠へクロスを送った場面の二つしかない。試合をコントロールしながらも、不足しているアクセント。

 そして今季、その“アクセント”になっているのが、原口元気であることに異論はないだろう。

 原口はパスを繋ぐことに傾倒しがちなチームにおいて唯一、アタッキングサードで積極的に仕掛けられる技術とスピードを持っている。良い意味でパスサッカーを“壊す”ことのできる選手だ。レベルの差こそあるにせよ、FCバルセロナのメッシと同じような影響力を、チームの中で持ちつつある。

 セレッソとの試合は引き分けに終わったが、原口は自身の持つポテンシャルを改めて証明した。そして何より、浦和レッズが目指すべき未来、チームとしての方向性が垣間見えた、重要度の高い試合になったと言えるのではないだろうか。

【了】

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