興梠によって高まった“サッカーの質”
今季の浦和は、シーズンオフに興梠、関口、那須、森脇を獲得するなど、大型補強に成功した。開幕前から前評判も高く、シーズンに入ってからも6試合で5勝1分と素晴らしいスタートを切った。昨年よりも高い位置からタイトなプレッシャーを掛け、相手を押し込みながらボールポゼッションを続ける、攻撃的なスタイルに進化してきている。
しかし、第8節に大宮とのダービーで初黒星を喫すると、続く清水戦でも0-1で敗戦。この2試合も、開幕からの6試合と同様ボールキープ率はある程度高く保たれていたが、決定力を欠き、相手に少ないチャンスを決められる形で連敗を喫した。
ミハイロ・ペトロヴィッチ監督のサッカースタイルは“攻撃的”なものだが、その方向性とは裏腹にそれほど得点数が増えている訳ではない。3位でフィニッシュした昨年の得点数は47で、G大阪の67、広島の63とは大きく引き離されている。そして今季も9試合で13得点、1試合平均は1.44と昨年の1.38を少しだけ上回る数字でしかない。
鹿島から興梠慎三を獲得したのは、得点力を高める意味合いが強かったと考えられるが、その興梠は9試合で1得点と、ゴールという結果は残せていないのが実情だ。
ただ、興梠が1トップに入ることで浦和のボールポゼッションは劇的に向上しているのも事実。興梠の巧みなポストワークが最終ラインやボランチからの縦パスを増加させ、相手のディフェンスを中央に集めサイドにスペースを作り出し、そこで梅崎や宇賀神、平川らのサイドアタッカーがフリーでプレーできる場面も増えている。
興梠の加入で、間違いなく“サッカーの質”は高まってきている。
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