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Jリーグ 12年前

なぜジェフ千葉はJ2で苦戦を続けるのか? 方向性なきクラブが持つ不安材料

text by 西部謙司 photo by Kenzaburo Matsuoka

見るべきは自分たちではなく相手か

 “米倉問題”もある。こちらは問題というより、SBへのコンバートで新境地を拓きつつある明るい材料なのだが、守備が少々安定しない。ただ、経験を積めば大成する可能性は大きく、選手の成長がチームの上昇につながるかもしれない。千葉としては珍しいケースだろう。

 チームとして何をやるべきか、方向性は定まっている。これまでのところ、結果がついてこなくても焦れずに辛抱強く取り組んでいる印象だ。プレーの質を上げることで、チーム力を上げていこうという姿勢は良い。一方で、目の前の相手を倒すために、相手の嫌がることをもっと仕掛けていく試合運びも必要だろう。

 ただし、チームのスタイルがまだ固まりきっていない中で、特効薬に頼るのもためらいがある。逆に、自分たちの戦い方が定まっていれば、それに拘泥せずにアイデアを使えるようにもなるはずなのだが。

 質の向上でカギを握っているのは、谷澤達也とナム・スンウではないかと思う。狭いスペースでパスを受けて、崩しにかかるクオリティを持っているからだ。

 彼らの活躍でチームのやり方が軌道に乗ってくれば、ベテランの多さは強みに転換できる 。まず、チームのベースが固まらないかぎり経験値も生きないし、おきまりの失速につながりかねない。

 千葉にとって大事なのは、「自分たちは強い」という慢心を捨てることだと思う。千葉が最も強かったオシム監督の時代は、むしろ弱者のサッカーをしていた。J2では、逆に強者のサッカーを標榜して足下をすくわれている。自分たちよりも、もっと相手を見てサッカーをすべきかもしれない。

 若手が育っていないのは大きな問題だ。育てる以前に若い選手が入ってきていない。首都圏という地の利を生かすよりも、獲得競争に遅れをとっている。どういうチームを作り、そのためにどういう人材が必要か、さらに必要な人材を獲得できる状況なのか、総合的なクラブの方向性については、他チームよりもかなり遅れている気がする。

【了】

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