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Jリーグ 12年前

なぜジェフ千葉はJ2で苦戦を続けるのか? 方向性なきクラブが持つ不安材料

text by 西部謙司 photo by Kenzaburo Matsuoka

今後を左右する“ジャイール問題”

 ドワイト監督のシーズンを除くと、千葉を率いた日本人監督(江尻、木山、鈴木)には共通点がある。いずれも“J1っぽいサッカー”をしている。ボールを支配して、きれいに崩して点をとろうという戦い方だ。ただ、きれいで強そうなサッカーをしているだけで、そこまで勝ち点がついてこないのが悩ましいところである。

 問題は、ある程度ボールを支配できても得点力が上がらないこと。千葉がJ2で大差負けを喫した例はほとんどない。僅差の展開に持ち込まれて競り負けたり、勝ちきれずにポイントを落とすケースが大半である。千葉にボールを持たれても組織的に守り、カウンターを仕掛けてくる、相手の効率的なサッカーに対 して優位性を維持できないのだ。

 鈴木監督は、戦術オーロイ的な特殊能力には依存せず、正攻法で攻撃力アップに取り組んでいる。しっかりビルドアップを行い、ゾーンの隙間にパスをつないで守備のバランスを崩し、スピードアップして裏をつく。J1の多くのチームが狙っている標準型と言っていいだろう。

 ここまでの進捗は、過去3シーズンと比べるとむしろ遅い。これが今後の伸びにつながるのか、このまま終わってしまうのかはまだわからないが、いくつかのポイントは見えている。

 1つは“ジャイール問題”。新加入のブラジル人ジャイールは、攻撃力に関しては素晴らしい能力がある。外国人選手が戦力にならないことも多かった千葉にしては、久々のヒットだ。

 ところが、これが諸刃の剣なのだ。守備ができない。左サイドにしばしば穴を開けてしまう。そこで左SBに本来はCBのキム・ヒョヌンや大岩一貴を起用している。それで、ジャイールの優れた個人技が毎試合ゴールを生み出してくれるならプラスだが、個で勝負するタイプだけにドリブルが通用しなければマイナス面ばかりが残る。ジャイールをチームに組み込めるかどうかはポイントになりそうだ。

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