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セリエA 12年前

【現地記者が迫る】長友のケガも防げた? サネッティ負傷から考察するインテル・医療スタッフの大きな責任

text by 神尾光臣 photo by Kazhito Yamada / Kaz Photography

誤診を疑う地元メディアも

 もっとも疑問に残るのは、さすがに因果関係を感じずにはおれない故障者の多さである。不運な接触から生じたように見えたサネッティの接触も、実はそうではないのではないかという見方もある。

 地元ラジオの取材に応えたイタリア代表のカステッラッツィ主任医師は「腱の断裂はたびたび起こりうる重大な故障で、組織の悪化とともに起こる。そこに至までには患部に“進行のプロセス”というものが出ているはずで、それがあって腱断裂に至る」と語っていた。

 つまり、サネッティの左足首には腫れなどの兆候が現れていたはずで、イル・ジョルナーレ紙は「これを見逃していたとすれば、トレーナーの責任は重い」と批判している。

 今季、インテルはヨーロッパリーグの予選に参戦するため、チームの始動を例年から早めている。ただ、夏の練習においては実戦向けの戦術練習を組まざるを得ず、十分なフィジカルトレーニングに調整が出来なかった点も指摘されている。ただでさえカレンダーが厳しいところに、代表選手が多いことも実情を助けない。

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ストラマッチョーニ監督の去就問題は話題に上らず【写真:Kazhito Yamada / Kaz Photography】

「トレーニングスタッフは各選手の状態に応じたメニューを組んで対策している」とストラマッチョーニ監督は代弁していたが、現実の事象を見る限りそれが機能しているとは言いがたい。代表に招集される度に長時間移動を強いられたグアリン、パラシオ、ガルガーノ、そして長友らが揃って故障しているのはさすがに偶然ではないだろう。

 メディカルスタッフも、症状などについての誤診を行っていたのではないかという疑念を地元メディアは報じる。そしてモラッティ会長も、「見直さなければならないことがあるのは確かだ」と組織の改変を示唆している。

 この不振の中、メディアはストラマッチョーニ監督の去就さえも話題にしなくなった。インテルが立ち直る上で、問題はそれ以外のところにあるのではないかと、誰もが認識している。

【了】

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