遠藤がコレクティブにプレーするために
――まさにコレクティブに欠けていたわけですね。
「そうなのだが、日本の選手はおしなべてコレクティブだ。個人主義者やエゴイストはほとんどいない。遠藤もその意味でコレクティブな選手だが、彼がコレクティブにプレーするためには他の選手がさらに動いて、彼からコレクティブな動きを引き出すことも必要だ。
水の運び役であるボランチやサイドバックはもちろん、トップにもよく動き、ボールをキープできるフォワードが要る。遠藤らが上がっていくための、時間とスペースを確保できる選手だ。
ボールを持ったときの遠藤は素晴らしいが、ときにゴール前でボールを受けることもするべきだ。相手DFを怖気づかせるために。彼がピッチに立っているのは、ただパスを繰り出すためでなく、ゴールシーンでも決定的な役割を果たせることを証明するために。
彼にはそれが出来る。だがそのためには勇気が必要だ。特に国際試合では、相手DFは軒並み大きい。そこに小さな選手が向かっていくのだから、怖くて当然だ。ほんのちょっとした接触で倒されてしまう。しかしそれで相手のファールを誘える。そうした試みを、彼はもっと行うべきだった。遠藤は、狙ったところにボールを正確に蹴れる技術を持っている。相手もそれが分かっているから、ゴール近くでフリーキックを与えるのは危険だと認識するだろう」
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